2018年(平成30年)になりましたね。今年もよろしくお願いします。
さて、ご存じの方も多いと思いますが、労働の世界には、 「2018年問題」と呼ばれている問題があります。
有期労働契約の無期転換と派遣労働の期間制限です。
そこで、今回は、有期労働契約の無期転換を取り上げます。
まず、法律家らしく、条文からですが、有期労働契約の無期転換については、労働契約法18条が定めています。
1項と2項があるのですが、結構長い条文なので、ここでは引用しません。各自、読んでみてください。
法律の条文は、多くの場合、要件と効果のかたちで作られています。これこれの場合(要件)は、こうなる(効果)という感じですね。
18条1項は、まさに、要件と効果のかたちで作られています。
まず、先に、結論にあたる効果についてみると、「使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、…同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。」が効果の部分です。
つまり、使用者が承諾しなくても、承諾したことにするわけですから、要件が充たされれば、いわば強制的に、労使間に期間の定めのない労働契約が成立するわけですね。
ただ、有期労働契約の契約期間が、期限の定めのないものにはなるものの、それ以外の労働条件は変更することまで必要はないんです。無期になったとたん、正社員になるわけではないということです。
もっとも、「別段の定め」をすることはでき、最低でも、定年制は設けることになるでしょう。正社員さえ定年があるのに、無期転換した労働者には定年がないのは不自然ですからね。
次に、要件ですが、要件について書かれた部分は、効果の部分よりまえ全部です。
つまり、「同一の使用者との間で締結された…労働者が、当該使用者に対し、…期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、」ですね。
そして、通算契約期間については18条2項が規定していますから、18条2項は要件についての規定ということになります。
要件は、具体的に、
@使用者が同一であること、A平成25年4月1日以降、2回以上有期労働契約をしていること、B通算契約期間が5年を超えること C有期労働契約満了前に期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたこと、の4つに分解できると思います。
@使用者が同一であること
同じ法人・個人に雇われている、雇い主が、ずっと同じということですね。
A2回以上有期労働契約をしていること
有期労働契約は、終了日がくれば、その契約は終了しますから、2回以上の有期労働契約といえるためには、少なくとも1回は契約更新をしている必要があります。
そして、労働契約法18条は、平成25年4月1日に施行されたので、同日以降2回の有期労働契約が必要です。
B通算契約期間が5年を超えること
まず、「5年を超える」とされているので、5年ピッタリはダメで、5年を過ぎることが必要です。
次に、18条2項は通算契約期間について定めているので、みてみると
まず、空白期間前の通算契約期間が1年以上ある場合、空白期間が6か月以上あると、空白期間前の契約期間は、通算契約期間に算入されません。6か月以上ですから、6か月を含みますね。
次に、空白期間前の通算契約期間が1年未満の場合は、通算契約期間÷2以上の空白期間があると、空白期間前の契約期間は、通算契約期間に算入されません。
と定めています。
ただ、この通算契約期間については、18条2項の文言からわかるように、厚生労働省令に細かい定めがあります。
なお、空白期間のことを「クーリング期間」、通算契約期間に算入されなくなることを、「クーリングされる」と言うようです。
C有期労働契約満了前に期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたこと
労働者は、無期転換の申込みはしなければなりません。自動的に無期転換するわけではなく、労働者に選択権があるんですね。
以上のとおり、無期転換の要件効果について、ザッと書きました。
ただ、この無期転換については、特例、つまり、例外的に無期転換しない場合も、労働契約法以外の法律で定められているのですが、長くなってしまうので、ここでは触れません。
興味のあるかたは、厚生労働省のホームページをご覧下さい。
期限の定めのない労働契約となると、労働契約法16条があるので、使用者としては、解雇が難しくなるでしょう。
そこで、使用者が、無期転換社員をどう活用していくか、それが有期労働契約の無期転換の問題なのです。
最後に、このブログでは、これまで、社労士試験の勉強方法をメインに書いてきましたが、今後も、今回のような労働法など、社労士試験の勉強方法以外のことも書いていきたいと考えていますので、ブログのタイトルを「ひらくの社労士合格塾」から「ひらくはダブルライセンス?」にし、「ひらくの社労士合格塾」は、カテゴリの1つにすることにしました。
次回は、2018年問題その2として、派遣労働の期間制限について書きますね。
では、また。
2018年01月28日
2018年問題その1−有期労働契約の無期転換
posted by ヒラク総合法律事務所 at 17:17| 労働法
2018年02月25日
2018年問題その2−派遣労働の期間制限
みなさん、こんにちは。
年があけたと思ったらもう2月も終わりに近づいてきました。月日が経つのは、ホント早いですね。
今回は、予定どおり、2018年問題その2として、派遣労働の期間制限について取り上げます。
これは、平成27年に派遣法が改正されたことによるものです。
普段、「派遣法」とか「労働者派遣法」と呼んでいる法律は、実は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」が正式名です。
知ってました?
ちなみに、私が大学時代に勉強して単位をとった「独禁法」も、「独占禁止法」ではなく「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」が正式名です。
時々見かけますよね。長い名前の法律。
では、本題に入ります。
派遣法は、平成27年改正前、いわゆる26業務への労働者派遣には期間制限がありませんでした。
しかし、改正により、施行日以降に締結された労働者派遣契約に基づく労働者派遣には、期間制限があるようになりました。
つまり、すべての業務で、期間制限が適用されるようになったのです。
施行日は平成27年9月30日ですので、今年の9月30日以降、これまで26業務で働いてきた派遣労働者に対する派遣切りが多発するのではないか。
これが、派遣に関する2018年問題です。
以下、具体的にみていきます。
1 期間制限について
期間制限は、@事業所単位の期間制限と、A個人単位の期間制限があります。
@事業所の期間制限は、派遣先の同一の事業所に対し、派遣できる期間は、原則3年というものです。
原則3年ですので、例外があります。それは、その事業所の過半数労働組合等(過半数労働組合または過半数代表者)から意見を聴けば3年の派遣可能期間を延長できるというものです。
過半数労働組合等の意見を聴けばよく、同意をもらう必要はないんです。
ちなみに、就業規則を作成・変更するときも、過半数労働組合等からの意見聴取が必要でしたね(労基法90条1項)。
A個人単位の期間制限については例外がなく、同一の組織単位に対し派遣できる期間は3年までになります。
組織単位とは、「課」や「グループ」のことで、「課」や「グループ」が異なれば、同じ事業所で働けるんですね。
なお、事業所単位の期間制限と、個人単位の期間制限、いずれにも、クーリング期間というものがあって、3か月を超える、つまり、3か月と1日以上、派遣労働者を受け入れていない期間があれば、派遣先は、再度、同じ派遣労働者を受け入れることができるようになります。
だだ、脱法目的には利用しないよう、厚労省は注意を促しています。
2 派遣労働者の保護について
派遣終了となる労働者については、派遣元が雇用安定措置を講じなければならなくなりました。
具体的には、T派遣先への直接雇用の依頼、U新たな派遣先の提供、V派遣元による無期雇用、Wその他です。
こうやって派遣労働者を保護しようというわけです。
また、派遣労働者の保護規定としては、労働契約申込みみなし制度もあります(派遣法40条の6)。
この規定は、簡単にいえば、一定の場合、派遣先が派遣労働者に派遣元と同じ労働条件で労働契約を申し込んだとみなす制度です。
労働者が承諾すれば、労働契約が成立し、派遣先に直接雇用されることになります。
一定の場合とは、@派遣禁止業務に派遣、A無許可の派遣元からの派遣、B期間制限違反の派遣、C偽装請負の場合と、要は、悪いことした場合です。
この規定は、派遣先が善意無過失であれば適用されないのですが、上の4つに該当しないか調べることは容易なので、善意無過失といえるケースはめったにないのではないか、と言われています。
3 期間制限対象外の派遣労働者について
最後に、押さえておきたいのは、期間制限対象外となる派遣労働者についてです。
派遣法は、⑴派遣元に無期雇用されている労働者の派遣、⑵60歳以上の労働者の派遣、⑶有期プロジェクト業務への派遣、⑷日数限定業務への派遣、⑸産前産後・育児・介護休業を取得した労働者への代替派遣を、期間制限対象外の派遣労働者としています。
最近、法律相談していると、派遣元に無期雇用されている派遣労働者が増えている気がします。
人手不足が叫ばれている今日ですので、今年9月以降、派遣元に無期雇用される派遣労働者が、さらに増えてくるのではないでしょうか。
では、また。
年があけたと思ったらもう2月も終わりに近づいてきました。月日が経つのは、ホント早いですね。
今回は、予定どおり、2018年問題その2として、派遣労働の期間制限について取り上げます。
これは、平成27年に派遣法が改正されたことによるものです。
普段、「派遣法」とか「労働者派遣法」と呼んでいる法律は、実は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」が正式名です。
知ってました?
ちなみに、私が大学時代に勉強して単位をとった「独禁法」も、「独占禁止法」ではなく「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」が正式名です。
時々見かけますよね。長い名前の法律。
では、本題に入ります。
派遣法は、平成27年改正前、いわゆる26業務への労働者派遣には期間制限がありませんでした。
しかし、改正により、施行日以降に締結された労働者派遣契約に基づく労働者派遣には、期間制限があるようになりました。
つまり、すべての業務で、期間制限が適用されるようになったのです。
施行日は平成27年9月30日ですので、今年の9月30日以降、これまで26業務で働いてきた派遣労働者に対する派遣切りが多発するのではないか。
これが、派遣に関する2018年問題です。
以下、具体的にみていきます。
1 期間制限について
期間制限は、@事業所単位の期間制限と、A個人単位の期間制限があります。
@事業所の期間制限は、派遣先の同一の事業所に対し、派遣できる期間は、原則3年というものです。
原則3年ですので、例外があります。それは、その事業所の過半数労働組合等(過半数労働組合または過半数代表者)から意見を聴けば3年の派遣可能期間を延長できるというものです。
過半数労働組合等の意見を聴けばよく、同意をもらう必要はないんです。
ちなみに、就業規則を作成・変更するときも、過半数労働組合等からの意見聴取が必要でしたね(労基法90条1項)。
A個人単位の期間制限については例外がなく、同一の組織単位に対し派遣できる期間は3年までになります。
組織単位とは、「課」や「グループ」のことで、「課」や「グループ」が異なれば、同じ事業所で働けるんですね。
なお、事業所単位の期間制限と、個人単位の期間制限、いずれにも、クーリング期間というものがあって、3か月を超える、つまり、3か月と1日以上、派遣労働者を受け入れていない期間があれば、派遣先は、再度、同じ派遣労働者を受け入れることができるようになります。
だだ、脱法目的には利用しないよう、厚労省は注意を促しています。
2 派遣労働者の保護について
派遣終了となる労働者については、派遣元が雇用安定措置を講じなければならなくなりました。
具体的には、T派遣先への直接雇用の依頼、U新たな派遣先の提供、V派遣元による無期雇用、Wその他です。
こうやって派遣労働者を保護しようというわけです。
また、派遣労働者の保護規定としては、労働契約申込みみなし制度もあります(派遣法40条の6)。
この規定は、簡単にいえば、一定の場合、派遣先が派遣労働者に派遣元と同じ労働条件で労働契約を申し込んだとみなす制度です。
労働者が承諾すれば、労働契約が成立し、派遣先に直接雇用されることになります。
一定の場合とは、@派遣禁止業務に派遣、A無許可の派遣元からの派遣、B期間制限違反の派遣、C偽装請負の場合と、要は、悪いことした場合です。
この規定は、派遣先が善意無過失であれば適用されないのですが、上の4つに該当しないか調べることは容易なので、善意無過失といえるケースはめったにないのではないか、と言われています。
3 期間制限対象外の派遣労働者について
最後に、押さえておきたいのは、期間制限対象外となる派遣労働者についてです。
派遣法は、⑴派遣元に無期雇用されている労働者の派遣、⑵60歳以上の労働者の派遣、⑶有期プロジェクト業務への派遣、⑷日数限定業務への派遣、⑸産前産後・育児・介護休業を取得した労働者への代替派遣を、期間制限対象外の派遣労働者としています。
最近、法律相談していると、派遣元に無期雇用されている派遣労働者が増えている気がします。
人手不足が叫ばれている今日ですので、今年9月以降、派遣元に無期雇用される派遣労働者が、さらに増えてくるのではないでしょうか。
では、また。
posted by ヒラク総合法律事務所 at 15:08| 労働法
2018年10月28日
働き方改革関連法の要点1
みなさん、こんにちは。
今回から、数回に分けて、働き方改革関連法の要点について書いていきます。
来年4月1日から順次施行されますからね。
みなさんご存じのとおり、働き方改革関連法案、
正式には、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」が、平成30年6月29日に成立し、7月6日に公布されました。
本来は、9月から書いていく予定だったのですが、勉強が間に合わなくて、9月は更新できませんでした。
すみません。
まず、法律は趣旨が大切ですので、改正の趣旨をみてみましょう。
厚生労働省がだしているリーフレット「働き方改革 〜一億総活躍社会の実現に向けて〜」(22頁もの、以下「リーフレット」といいます。)の1頁目には、
https://www.mhlw.go.jp/content/000335765.pdf#search=%27%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9%E6%94%B9%E9%9D%A9+%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81%27
「働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講じます。」
と書いてあります。これが趣旨です。
この趣旨からわかるように、働き方改革関連法の大きなポイントは、2つあります。
1つは、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現と、
もう一つは、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保です。
そこで、まずは、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現についてです。
項目としては、リーフレットにでてくるものを使用し、順番もリーフレットに従います。
ちなみに、条文は、改正後のものを書き、改正前の場合は、現行とします。
1 残業時間の上限を規制します
労基法32条は、労働時間は、休憩時間を除き1日8時間、週40時間と規定していますので、
これを超えて労働させると、使用者は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます(労基法119条1号)。
そこで、使用者は、労働者に時間外労働、休日労働をしてもらっても、刑事罰を科されないため、労働者と36協定を結ぶことになります。
労基法36条に規定されている協定なので、サブロク協定と呼ばれているのは有名な話しですね。
ところで、従来、36協定で定めることができる上限時間は、厚生労働大臣の告示(以下「時間外限度基準告示」といいます。)で定められていました。
今回の改正では、時間外限度基準告示で定められていたものが、法律に格上げされたのです。
残業時間の規制について整理すると、
原則は、月45時間、1年360時間(対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制による場合は1か月42時間、1年320時間)です(労基法36条4項)。
例外として、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合は、
1年720時間以内まで可能です(労基法36条5項)。
だだし、
・複数月平均80時間以内、つまり、2か月から6か月のそれぞれの期間における時間外労働及び休日労働の1ヶ月あたりの平均時間が80時間以内であること(労基法36条6項2号)、
・1か月100時間未満であること(労基法36条6項3号)、
・原則である月45時間を超えることができるのは、年6回までであること(労基法36条5項)
という制限があります。
そして、これに違反すると、使用者は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます(労基法119条1号)。
今までは、罰則がなかったのですから、この点は、大きな改正ですね。
次回は、この上限規制の適用猶予・除外の事業・業務から書いていきます。
では、また。
今回から、数回に分けて、働き方改革関連法の要点について書いていきます。
来年4月1日から順次施行されますからね。
みなさんご存じのとおり、働き方改革関連法案、
正式には、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」が、平成30年6月29日に成立し、7月6日に公布されました。
本来は、9月から書いていく予定だったのですが、勉強が間に合わなくて、9月は更新できませんでした。
すみません。
まず、法律は趣旨が大切ですので、改正の趣旨をみてみましょう。
厚生労働省がだしているリーフレット「働き方改革 〜一億総活躍社会の実現に向けて〜」(22頁もの、以下「リーフレット」といいます。)の1頁目には、
https://www.mhlw.go.jp/content/000335765.pdf#search=%27%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9%E6%94%B9%E9%9D%A9+%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81%27
「働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講じます。」
と書いてあります。これが趣旨です。
この趣旨からわかるように、働き方改革関連法の大きなポイントは、2つあります。
1つは、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現と、
もう一つは、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保です。
そこで、まずは、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現についてです。
項目としては、リーフレットにでてくるものを使用し、順番もリーフレットに従います。
ちなみに、条文は、改正後のものを書き、改正前の場合は、現行とします。
1 残業時間の上限を規制します
労基法32条は、労働時間は、休憩時間を除き1日8時間、週40時間と規定していますので、
これを超えて労働させると、使用者は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます(労基法119条1号)。
そこで、使用者は、労働者に時間外労働、休日労働をしてもらっても、刑事罰を科されないため、労働者と36協定を結ぶことになります。
労基法36条に規定されている協定なので、サブロク協定と呼ばれているのは有名な話しですね。
ところで、従来、36協定で定めることができる上限時間は、厚生労働大臣の告示(以下「時間外限度基準告示」といいます。)で定められていました。
今回の改正では、時間外限度基準告示で定められていたものが、法律に格上げされたのです。
残業時間の規制について整理すると、
原則は、月45時間、1年360時間(対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制による場合は1か月42時間、1年320時間)です(労基法36条4項)。
例外として、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合は、
1年720時間以内まで可能です(労基法36条5項)。
だだし、
・複数月平均80時間以内、つまり、2か月から6か月のそれぞれの期間における時間外労働及び休日労働の1ヶ月あたりの平均時間が80時間以内であること(労基法36条6項2号)、
・1か月100時間未満であること(労基法36条6項3号)、
・原則である月45時間を超えることができるのは、年6回までであること(労基法36条5項)
という制限があります。
そして、これに違反すると、使用者は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます(労基法119条1号)。
今までは、罰則がなかったのですから、この点は、大きな改正ですね。
次回は、この上限規制の適用猶予・除外の事業・業務から書いていきます。
では、また。
posted by ヒラク総合法律事務所 at 15:20| 労働法