みなさん、こんにちは。
前回の続きです。
2 労働者に対する、待遇に関する説明義務の強化
厚生労働省のリーフレットには、
「事業主が労働者に対して説明しなければならない内容を、パート・有期・派遣で統一的に整備します。」と記載されています。
条文的には、パート・有期と派遣で分かれているので、以下、分けて書きますね。
@ パート労働者・有期雇用労働者
待遇内容についての説明義務
パート労働者についてはもとからありました(パート労働法14条2項)。パート労働法に有期雇用労働者を加えたため、有期労働者については説明義務が新設されたことになります。
待遇決定に際しての考慮事項
これも、パート労働者についてはもとからありました(パート労働法14条2項)。パート労働法に有期雇用労働者を加えたので、有期労働者については説明義務が新設されたことになります。
待遇差の内容・理由
これは現行のパート労働法にはなく、パート労働法14条2項に「当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由」との文言が加えられたことにより、新設されました。
不利益取扱いの禁止
パート労働法14条3項を新設し、労働者が説明を求めたことにより、事業主が、解雇その他の不利益な取扱いをすることが禁止されました。これは、パート労働指針第3の3にあったものを、法律に明記したものです。
A 派遣労働者
派遣労働者に対する説明義務ついては、派遣法31条の2が規定しています。
待遇内容や待遇決定に際しての考慮事項については、既に規定がありました(1項、4項)。
待遇差の内容・理由
派遣元事業主は、派遣労働者から求めがあったときは、派遣労働者と比較対象労働者(派遣法26条8項参照)との待遇差の内容・理由を説明する義務が新設されました。4項に追加されたかたちです。
不利益取扱いの禁止
派遣労働者が説明を求めたことにより、派遣元事業主が、解雇その他の不利益な取扱いをすることが禁止されました(5項)。
3 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定の整備
厚生労働省のリーフレットには、
「行政による助言・指導等や行政ADRの規定をパート・有期・派遣で統一的に整備します。」と記載されています。
これも、条文的には、パート・有期と派遣で分かれているので、以下、分けて書きますね。
@ パート労働者・有期雇用労働者
行政による助言指導等
厚生労働大臣(都道府県労働局長へ権限委任)は、事業主に対して、報告を求め、または助言指導もしくは勧告をすることができ、勧告に従わない場合には、企業名等を公表することができます。
パート労働者についてはもとからありました(パート労働法18条)。
パート労働法に有期雇用労働者を加えたので、有期労働については説明義務が新設されたことになります。
行政ADR
パート労働者について労使間で紛争が生じた場合の解決手段として、都道府県労働局長による援助制度及び調停制度が設けられています。これが行政ADRです。
パート労働者についてはもとからありました(パート労働法24条、25条)。
今回、パート労働法に有期雇用労働者を加えたので、有期労働については行政ADRが新設されたことになります。
また、これまで行政ADRの対象外とされていた均衡待遇規定(8条)に関する紛争や、今回の改正により追加された待遇差の内容・理由の説明義務(14条)に関する紛争も対象となりました。
A 派遣労働者
以前から、行政による助言指導等、勧告 企業名の公表の規定はありましたが(現行法48条から49条の2)、行政ADRの規定はありませんでしたので、都道府県労働局長による紛争解決援助制度と調停制度を新設しました(47条の6から47条の9)。
以上です。
これまで5回にわたり、働き方改革関連法の要点を書いてきましたが、とりあえず今回でおわりです。
要点しか書いてきませんでしたが、かなりの分量になりましたね。
次回は、何を書くのかまだ決めていません。
では、また。
2019年03月17日
働き方改革関連法の要点5
posted by ヒラク総合法律事務所 at 11:47| 労働法