みなさん、こんにちは。
今回は、働き方改革、もう一つのポイント「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」についてです。
これまでどおり、厚生労働省のリーフレットに沿って書いていきます。
1 不合理な待遇差をなくすための規定の整備
厚生労働省のリーフレットには、
「裁判の際に判断基準となる「均衡待遇規定」「均等待遇規定」をパート・有期・派遣で統一的に整備します。」と記載されています。
そこで、まず、均衡待遇と均等待遇との違いを確認しますね。
均衡待遇とは、就業の実態等に違いがあることを前提として、その違いに応じて待遇の違いがバランスのとれたものとなっていることを求める考えであるのに対し、
均等待遇とは、働き方の前提条件が同じならば、同じ待遇にしなければならないという考え、です。
つまり、働く前提条件が同じなら同じ扱い(均等待遇)を、異なるならその違いに応じた取扱い(均衡待遇)をということですね。
具体的な改正点ですが、パートタイム労働者・有期労働者と派遣労働者では条文が異なるので、
以下、分けて書きます。
@パートタイム労働者・有期雇用労働者
均衡待遇規定は、現行だと労働契約法20条、パート労働法8条があります。
今回、このパート労働法8条が改正されました。
そして、パート労働法は、「有期労働者」が加えられ、「短期労働者及び有期労働者の雇用管理の改善等に関する法律」になりましたので、このパート労働法8条でパート労働者と有期労働者の均衡待遇を確保することになります。
ちなみに、有期労働者とは事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者(同法2条2項)と定義されています。
他方、労働契約法20条は削除になります。
今まで活躍してきた労働契約法20条がなくなるのは、なんか寂しいですね。
均等待遇規定は、現行だとパート労働法9条があります。
今回、このパート労働法9条が改正されました。
パート労働法8条と9条、新しい条文は、各自読んでみてください。
A 派遣労働者
現行では、平成27年の改正により、均衡待遇についての配慮義務・努力義務規定があるだけでした(派遣法40条2項、3項、4項)。
この点、配慮義務は、目的実現に向け、具体的に取り組むことが求められますので、単に努力する義務だけの努力義務より強い責任が課せらています。配慮義務は、全く配慮していなければ、行政による指導等の対象にもなるでしょう。
そこで、今回、改正により均衡・均等待遇規定が設けられました。
これには、原則と例外があります。
まず、原則ですが、派遣先労働者との均等均衡待遇方式です(派遣法30条の3)。
1項均衡待遇、2項が均等待遇を定めています。
次に例外ですが、労使協定による一定水準を満たす待遇決定方式です(派遣法30条の4第1項)
労使協定で定める事項(要件)は6つあります。各自読んでみてください。
その他、派遣先労働者と均等均衡待遇を実現するためには、派遣先の情報を派遣元が知る必要があります。
そこで、労働者派遣契約の締結にあたって、比較対象労働者の賃金等の待遇に関する情報提供義務が規定されました(派遣法26条7項)。
B 同一労働同一賃金ガイドライン
これまでは、同一労働同一賃金ガイドライン(案)でしたが、昨年12月、正式決定しましたね。
これまでの案と大きな違いはないようです。
次回は、働き方改革関連法の要点の最後になります。
では、また。
2019年02月16日
働き方改革関連法の要点4
posted by ヒラク総合法律事務所 at 16:55| 労働法