2018年11月23日

働き方改革関連法の要点2

みなさん、こんにちは。

前回の続き、上限規制の適用猶予・除外の事業・業務から始めます。

まず、適用猶予と適用除外は分けてなければなりません。

適用猶予は、適用を先延ばしにすることです。
これに対して、適用除外は、適用から除かれるわけですから、もともと適用がないのです。
 
ちなみに、刑事裁判で、裁判官は、
「判決、主文、被告人を懲役1年に処する。
この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。」
と判決言渡をしますが、

これは、懲役1年だけど、刑の執行が猶予されているので、すぐ刑務所に入る必要はないですよ。という意味です。

そして、無事3年間過ごせば、刑の言い渡しの効果が消滅します。
刑の言い渡しの効果が消滅するという点は、特殊ですが、猶予とはこんなイメージです。

話しを労働法に戻しますね。

まず、適用猶予ですが、
次の業務は、改正法施行後5年間は猶予、5年後から適用することになっています。
・工作物の建設の業務(同139条)
・自動車運転の業務(労基法附則140条)
・医業に従事する医師(同141条)
・鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業(同142条)

次に適用除外ですが、
新たな技術、商品または役務の研究開発に係る業務(労基法36条11項)は、時間外労働の上限規制は適用されません。
ただ、時間外労働・休日労働が月100時間を超える者は医師の面接指導が必要になります(安全衛生法66条の8の2)。


2 「勤務間インターバル」制度の導入を促します

この制度は、1日の勤務終了後、翌日の出勤までの間に一定時間以上の休憩時間を確保する仕組みで、働く方々の十分な生活時間や睡眠時間を確保することを目的にしています。

今回、労働時間等設定改善法、
正式には「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」の2条が改正され、
「事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間 の休息の確保に努めなければならない」としました。
ただ、時間数は示されておらず努力義務にとどまっています。

 
3 年5日の年次有給休暇の取得を企業に義務づけます
 
使用者は、年次有給休暇の日数が10日以上の労働者に対し、5日については毎年時季を指定して与えなければならなくなりました(労基法39条7項)。
ただ、労働者から申し出があった場合、計画的付与制度により年次有給休暇を与えた場合は、その与えた日数分について、使用者から時季指定する義務はなくなります(労基法39条7項)。
 
年次有給休暇の取得率が依然5割に満たないことから、最低で5日はしっかり取ってもらおうということですね。
ただ、自分から積極的に有給休暇をとる労働者は、別に使用者が時季指定しなくてもいいんです。
当然ですね。

普通に働いている方は、1年間で10日〜20日も有給休暇を取ることができます。
みなさん、有給休暇とってますか?


4 月60時間超の残業は、割増賃金率を引上げます

平成22年の労基法の改正により、1か月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率は50%以上になりました。
ただし、中小事業主については、適用が猶予されていたのです(労基法附則138条)。

社労士試験でもよく勉強しました。
その猶予措置廃止をするのです。具体的には、労基法附則138条を削除します。
 
ただし、2023年(平成35年)4月1日からの施行です。
平成ではなくなっていますし、東京オリンピック後の話しです。

ちなみに、中小事業主の要件は、労基法附則138条に書いてあります。
資本金と常時使用する労働者数で決めていますね。
日本の企業は、ほとんどが中小企業です。当分適用されませんね。

次回は、労働時間の把握の話しからです。

では、また。
posted by ヒラク総合法律事務所 at 16:51| 労働法