みなさん、こんにちは。
今回から、数回に分けて、働き方改革関連法の要点について書いていきます。
来年4月1日から順次施行されますからね。
みなさんご存じのとおり、働き方改革関連法案、
正式には、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」が、平成30年6月29日に成立し、7月6日に公布されました。
本来は、9月から書いていく予定だったのですが、勉強が間に合わなくて、9月は更新できませんでした。
すみません。
まず、法律は趣旨が大切ですので、改正の趣旨をみてみましょう。
厚生労働省がだしているリーフレット「働き方改革 〜一億総活躍社会の実現に向けて〜」(22頁もの、以下「リーフレット」といいます。)の1頁目には、
https://www.mhlw.go.jp/content/000335765.pdf#search=%27%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9%E6%94%B9%E9%9D%A9+%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81%27
「働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講じます。」
と書いてあります。これが趣旨です。
この趣旨からわかるように、働き方改革関連法の大きなポイントは、2つあります。
1つは、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現と、
もう一つは、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保です。
そこで、まずは、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現についてです。
項目としては、リーフレットにでてくるものを使用し、順番もリーフレットに従います。
ちなみに、条文は、改正後のものを書き、改正前の場合は、現行とします。
1 残業時間の上限を規制します
労基法32条は、労働時間は、休憩時間を除き1日8時間、週40時間と規定していますので、
これを超えて労働させると、使用者は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます(労基法119条1号)。
そこで、使用者は、労働者に時間外労働、休日労働をしてもらっても、刑事罰を科されないため、労働者と36協定を結ぶことになります。
労基法36条に規定されている協定なので、サブロク協定と呼ばれているのは有名な話しですね。
ところで、従来、36協定で定めることができる上限時間は、厚生労働大臣の告示(以下「時間外限度基準告示」といいます。)で定められていました。
今回の改正では、時間外限度基準告示で定められていたものが、法律に格上げされたのです。
残業時間の規制について整理すると、
原則は、月45時間、1年360時間(対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制による場合は1か月42時間、1年320時間)です(労基法36条4項)。
例外として、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合は、
1年720時間以内まで可能です(労基法36条5項)。
だだし、
・複数月平均80時間以内、つまり、2か月から6か月のそれぞれの期間における時間外労働及び休日労働の1ヶ月あたりの平均時間が80時間以内であること(労基法36条6項2号)、
・1か月100時間未満であること(労基法36条6項3号)、
・原則である月45時間を超えることができるのは、年6回までであること(労基法36条5項)
という制限があります。
そして、これに違反すると、使用者は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます(労基法119条1号)。
今までは、罰則がなかったのですから、この点は、大きな改正ですね。
次回は、この上限規制の適用猶予・除外の事業・業務から書いていきます。
では、また。
2018年10月28日
働き方改革関連法の要点1
posted by ヒラク総合法律事務所 at 15:20| 労働法