ずいぶん久しぶりの更新になってしまいました。
この間、世の中、いろいろなことがありました。
新型コロナウィルスは、昨年、2類から5類に移行し、コロナ前の日常が戻ってきた感がありますが、世の中は大きく変化した感じがします。
さて、仕事の話しですが、先日、はじめて、経営者保証に関するガイドラインに基づく保証債務の整理(以下「ガイドラインによる整理」といいます。)をしました。
依頼者は、小さな会社の代表取締役で、まず、法人の破産申立の依頼を受けましたので、私が代理人となり、裁判所に法人の破産申立てをしました。
しかし、依頼者は、法人の借入金債務の連帯保証人でしたので、保証債務の整理が必要でした。
通常は、法人と一緒に自己破産申立をするケースが多いと思いますが、依頼者は、法人の事業停止後、不動産会社に就職し、働きながら一所懸命勉強して、宅地建物取引士の試験に1発合格されました。そして、給与アップになるからと宅地建物取引士の登録をし宅地建物取引士としての仕事もするようになっていたのです。
自己破産してしまうと、せっかくの登録が削除されてしまいますし、再度、登録するのに金銭的負担も生じるでしょう。
確かに、個人再生手続を利用すれば、宅地建物取引士の登録削除という資格制限はありませんが、保証債務額は約2000万円あり、小規模個人再生を利用した場合も、300万円は支払うことになってしまいます。依頼者の給与は、宅地建物取引士になったとはいえ安いので、この負担は大きいです。
そこで、私は、同じく資格制限がないガイドラインによる整理ができないかと考え、ガイドラインについて学ぶことにしました。ガイドラインの存在は知っていましたが、内容についてはよく知らなかったからです。
まず、日弁連のeラーニングに、ガイドラインによる整理の講義がないか探したところ、幸いにもあったので、それを視聴しました。
この講義は、主債務者である法人については破産、代表者個人についてはガイドラインによる整理をする場合、いわゆる「単独型」をメインに解説していましたので、ちょうど、依頼者の案件にピッタリでした。
この講義のおかけで、ある程度の知識を得ることができましたが、細かいところを調べる必要はあったので、アマゾンで関連書籍を購入しました。
依頼者の場合、債権者は2名と少なく、いずれも、ガイドラインでいうところの対象債権者でしたので、ガイドラインによる整理に動き出すことにし、まず、依頼者と委任契約を結び、債権者に受任通知をだしました。
受任通知には、依頼者がガイドラインによる整理を希望しており、資産が少ないので、ゼロ弁済になると書きましたが、いずれの債権者からも、ガイドラインによる整理の方針に同意をいただくことができました。
その後、法人の配当が終わったところで、返済猶予等のお願いをだしました。この通知は、通知した日が基準日となって、債務額、資産の額が決まりますので、重要なものです。
ところで、ガイドラインによる整理は、日弁連の特定調停スキームと中小企業再生支援協議会の協議会スキームがありますが、特定調停スキームのほうが、分かりやすかったので、特定調停スキームを選択しました。
特定調停申立書や調停条項案などの書類作成が終ると、調停申立前に、債権者2名から内諾をいただくために、債権者2名に、申立書等を郵送しました。
幸いなことに、いずれの債権者からも内諾をいただきましたので、いよいよ盛岡簡易裁判所に特定調停の申立てをしました。
内諾をいただいておりますので、調停は1回の期日で成立しました。ゼロ弁済での成立です。
債権者の皆様、ご協力ありがとうございました。
依頼者も、大変喜んで、将来、不動産業者として独立することがあれば、私に顧問弁護士になって欲しいとおっしゃっていました。楽しみに待っていたいと思います。
弁護士18年目ですが、これからも、依頼者のために、いろいろなことを学び、チャレンジしていきたいです。
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